物思いにふけっているときれいにホールの形にされて包まれたケーキたちが差し出される

「ありがとうございます」

海斗から預かってきた財布を広げていると

「チーズケーキは海斗君用?」

海斗の甘いもの嫌いを良く知る秋穂が微笑みながら尋ねてきた

「はい」

「優しいのねー」

「そんなことないですよ。一人で食べるのが嫌なだけです」

口ではそう言いながらもしっかりとお互いを想いあっていることを知っている秋穂は、そっと微笑む

「海斗君に伝言。新しい紅茶入ったから飲みに来てって。きっと気に入ると思うわ」

「了解です。伝えておきますね」

そういって大事そうにケーキの入った箱を持って背を向けるしるふを紅茶の香りに包まれながら見送る


変わらないのは、お互いを想っていること

変わったのは、過ごした時間と重ねた時間

そしてお互いを信じること

大切な人が隣に居てくれるだけで、それだけで意外と日常ってものは輝いていくものだ

それを忘れなければ、小さな、小さな想いを掬い取っていければ















今と昔と 完