ブルーベリーとラズベリーとストロベリーとクランベリーののったタルトをチョイスしたしるふに、ダージリンの紅茶を付ける

海斗は、甘いものが苦手で紅茶の香りも結構好みがあるので、いつもすっきりさが特徴のキャンディーやシッキムを好む

今日はシッキム選択だ

海斗の特等席に腰かけながら、しるふがそっと店内から外を見ている

人通りの少ない道に隣接しているため、あまり騒がしくないのが秋穂自身気に入っていた

紅茶に口をつける海斗の向かい側でしるふがベリータルトに手を伸ばす

サクッとフォークに差し、口に含むと広がる甘さと酸味

思わずおいしーとうれしそうにつぶやくしるふに海斗が優しい瞳を向ける

二口目を口に運ぶしるふは、きっとその瞳に気が付いていない

やっぱりべたぼれだなーとほくそ笑みながらその様子をそっと見守る

これは新たな楽しみ発見だわ

と秋穂は一人ふふっと微笑む

そっと香った香りが店内にあふれていた


ショーケースに出来立てのケーキを並べながら昔のことを思いだし、秋穂はふふふと一人微笑んだ

と、

「こんにちはー」

カラン、とベルの音と共に聞きなれた声がした

「しるふちゃん、いらっしゃい」

噂をすれば何とやら、と思いながら笑顔を向ける