茶色の落ち着いた雰囲気のソファに腰かける

「ああ、たぶんな」

短く告げられた言葉にしるふが微笑む気配がする

こうやって抽象的な言葉でもお互いの言わんとすることが伝わるほど、しるふとは時を重ねてきた

それはきっと誇れることだと思う

「待ってるね」

穏やかな時が流れる部屋で、しるふが嬉しそうにそっと告げてくる

その優しげな声を聞きながら、雑誌に落とした視線の中でふと微笑む

たとえしっかりとした誓いがなくともお互いに思い描く未来は同じだと確信している

だからその時のために、穏やかな時を、優しい時間を重ねていこうと思う

きっといつかずっとずっとそばで笑っていられる日が来るから

そしてその日々もまたずっと続いて行くはずだから





「どうした」

黙り込んでくるくると手に持ったグラスを回す海斗に、弘毅が問いかけてくる

すでに手の中の酒は、数倍に薄められているに違いない

「いや、ちょっとあいつの無自覚さを再確認してた」

「お前、相当振り回されてるだろう」

快活に笑う弘毅の検討は外れていない

「おっしゃる通りで」

認めるしかない自分が、とてつもなく悔しいが、仕方ない