あの時とこれからの日常

「んー、おいしー」

ふーと息を吹きかけてから口に含んだ味噌汁にしるふがほっと息をつく

「海斗ってお味噌汁作るのうまいよね」

「そりゃどうも」

味噌汁に上手も下手もあるのかと思いながら頷く

「だし巻き卵も好きだよ。あとオムライス」

付け加えるように言ってくるしるふが、9割が玉ねぎでできているのではないかという海斗お手製のハンバーグをつまむ

しるふの言葉に蘇るのは、今はもう懐かしい記憶

ある店にデートの際に寄ったとき、10秒ほどでオムライスを注文したしるふと今はもう違うお店になってしまっている洋風料理屋さん

運ばれてきたオムライスがしるふの基準に満たなかったらしく、その後終始ご機嫌斜めだったしるふのために

次の休日にオムライスを作ってやって以来、時々しるふ直々に注文を受ける

牛乳を入れてとろとろにした卵がツボらしい

海斗としては別に狙ったわけではないのだが、結果的にしるふの胃袋をしっかりとつかむこととなった

あれももう2年も前のこと

あの頃は自分たちもまだまだかわいげがあったように思う

今では冗談を冗談とわかってしまうがために落ち着きすぎている

最近思うのは、この先のことだ

付き合い始めて3年

そろそろ落ち着くべきだろうか