あの時とこれからの日常

「なんか久々だね、海斗がこうして台所に立ってるの」

トントン、とリズミカルに包丁を動かしていると背後からしるふがひょっこりを顔を出した

その瞳にはうれしさがにじんでいる

「まあ、これでも一週間出張だったからな」

そう、海斗は先週一週間出張で不在だった

今週もやれ急患だ、やれどこぞで事故だ、と病院に入り浸っていた

家に帰っても寝るだけだったり、しるふとはすれ違ってばかりだったので

顔を合わせた記憶はいつも白衣姿だった

やっと休日を迎えてこうして自宅でゆっくりするのは実に2週間ぶりだ

そりゃ、懐かしくもなるだろう

「やっぱりご飯は一人で食べるより二人の方がいいよね」

そうしみじみと言いながらしるふはご飯をよそっている

お盆に箸とご飯を乗せてテーブルまで運ぶ

海斗が二人分の味噌汁を持ってきて準備完了

もくもくと湯気が上る食卓の完成だ