「それこそ、ほっとけ」

はははと愉快そうな笑い声が響く

こうして時々、二人の休日がかぶったとき海斗と弘毅は顔を合わせる

大学を出て以来違うところに就職し、数年がたち、新人の時とは別の忙しさを抱えているためなかなか会えることはない

それでもこうして会えば、高校、大学の時と同じテンポで会話できる

「真面目な話」

コトン、とグラスをテーブルに置いて、弘毅が話し出す

「………そろそろ女でも作ったら」

真面目な口調で何を言い出すかと思ったら

真剣に聞こうかと耳を傾けた自分がばかだったと海斗は息をつく

「余計なお世話だ」

「言ったろう、亜紀が心配してたって」

「亜紀のは好奇心だろう」

「いやー、本心は心配してると思うぞ。なんだかんだで周りに女はいても海斗の隣に並べるほどじゃない奴ばっかりだって」

事実だろう?

高校のころ、亜紀と付き合いだした弘毅とは対照的に特定の彼女を持たなかった海斗には、そこそこに女が寄ってきたが、誰一人として隣を歩くことはできなかった

大学に入って遥という年上の彼女が一時期いたが、一年もせずに別れた過去がある