あの時とこれからの日常

「すごい!!すごーい!!」

海斗すごーい!!大好きかもー!!

ラスト10秒からの逆転に、観客席が一気に歓声に包まれる

その中に混じって、うれしそうに飛び跳ねるしるふの声が頭上から聞こえてくる

と、

「っずるいっすよー、黒崎先生ー。最後の最後でスーポンとか」

嶌田が悔しげに床にしゃがみ込みながら見上げてくる

しばしの沈黙の後、

ふっと瞳をつぶりながら笑った海斗は

「喧嘩売る相手が間違ってんだよ。俺からあいつを奪いたかったらこれ位できるようになってから来い」

そう言い置いてくるりと踵を返す

黒崎海斗、恐るべし

海斗の新たな伝説が生まれた日だった


ちゃっかり観戦に来ていた医院長信次が海斗の活躍に笑い転げる中、何事もなく体育大会は終わり

さらに各医局の結束が深まった

お望み通り黒崎病院食堂半年間半額券を手にしたしるふは、

上機嫌で功労者の海斗に夕食を振舞った

食後の片づけも終わり、腹ごなしに紅茶でも入れようとお湯を沸かす