あの時とこれからの日常

「立花せんせーい!!!!!」

真下から突然呼ばれた

ふと視線をやると、ぶんぶんと大きく手を振る小児科の選手が目に入った

誰だろう

小児科にはよく顔を出すが、記憶になく、首をかしげる

「俺、小児科の嶌田って言いますー!今年採用になりましたー!!」

元気いっぱい、満面の笑みを向けてくる

ああ、どうりで顔に見覚えがないわけだ

合点、ふんふんと頷くしるふに

「この試合で勝ったらデートしてくれますー?」

客席のざわめきを通り抜けて、元気のいい声が届く

「はあ!?」

素っ頓狂な声を上げたのは、しるふではなく隣の園田だ

しるふの隣に立つ医局長神宮寺晶が、その声に面白そうに顎に手をやる

「ちょっと!!あんた、立花先生がどこの誰だか知って言ってるの!?」

身を乗り出して叫ぶ園田の声が耳に痛い

「俺、このために今日バスケ出たんですよー!!デートの約束してくれたら俺の完璧なボールさばきと試合運び見せちゃいますよー!!」

完璧園田を無視して元気よく手を振ってくる