うそー!!と叫ぶしるふをあまりよろしくないスプリングの上に放り投げる

見下ろしながらそっとほほに手を伸ばすとピクリと体が震えた後、ゆっくりとブラウンの瞳が海斗をとらえる

そこには、困惑はあっても拒絶はない

華奢な体に体重をかけすぎないように気を付けながら、優しく唇を重ねる

「…海斗」

囁かれた名と至近距離で交わる二つの視線

しるふの手が、そっと頬をなでた後に背に回っていく

同時に抱きしめると感じる温もりと愛しさに、思わず息をついた


朝日特有の眩しさにうっすらと瞳を開けると、視界に飛び込んでくる見慣れた部屋

「ん…」

テーブルの上にあるのは、乾燥しきってしまったであろう茶豆

もぞもぞと布団の下から腕を出して、寝ぼけ眼をこする

「おはよう」

背後から抱きしめていてくれた腕に力がこもるのと同時に、耳元に低い声が響く

「おはよう」

そっと顔だけを向けると見返してくるのは、いつもと変わらない漆黒の瞳

「ねえ、海斗」

何かあった?

問いかけの後の沈黙

交わった視線はどちらも外さない