ため息とともに視線を逸らすと

「ねえ、教えてよ」

一度だって勝てたことのない瞳が見上げてくる

確信犯か、無自覚か

「いいか、まずな、しるふが離れていく、その状況を作らせない」

暗闇に響いた海斗の声には、確かな強さがある

「もー、そういうとこ俺様だよー。海斗ー」

うれしさとともに頬を寄せた海斗の温もりは、温かくて大好きな香りがして思わず大きく息を吸い込む

背中に回る手も頭の上に乗った温もりも

全部繋ぎとめておこうと思う

たとえどんなに時間が過ぎようとも

だから

「海斗、大好き」

少しずつでも言葉にのせていこうと思う

想っているだけじゃ、伝わらないから

優しく重なった唇は、いつもより少しだけ深かった






再認識に必要なこと 完