「第一!ここ一応私の実家!!彼女の家に来て少しは持ち上げるような発言できないの!?」

「正直にって言われたら正直に返すしかないだろ」

「あれが正直だってか!逆に頭に来るわ!!」

海斗はこの3年間私の何を見てたのよ!!

「あー、はいはい」

面倒くさい、そう書かれた顔で少し冷めてしまった紅茶を口に含む

怒るしるふの隣では紗雪が再び笑いのツボにはまっている

「黒崎さん」

少し改まった声にさすがのしるふも口を閉じる

「しるふのことよろしくお願いしますね。いろいろと、本当にいろいろとご迷惑をおかけするとは思いますが」

何分不器用な子で

うれしそうな、それでいてどこかさびそうにな表情の紗雪に海斗がふと優しい瞳を向ける

「ええ」

もちろん、そう返す海斗をしるふの透き通った瞳がとらえる

「いつだって結婚の報告、待ってますね」

「雪姉!!」

一変、おどけた様に小首をかしげる紗雪にしるふがすかさず抗議を入れる

その横で海斗が困ったように苦笑していた

今日一番、海斗が困った瞬間だったかもしれない







実家訪問 完