あの時とこれからの日常

バンと勢いよく置かれた紙の束に、海斗は漆黒の瞳だけを向ける

「11時59分45秒。終わったのか」

もう少し、もう少しでいいからリアクションをしてくれないだろうか

これでも徹夜して、決して終わるはずのない宿題に向かっていたのだから

「……実を言うと、少し終わりませんでした」

終るわけあるか!!なんて言えたらとっても楽なのに

ぐぐ、とさけびたいのを喉の奥に押し込み、唸るようにつぶやく

その言葉にふと海斗の漆黒の瞳が向けられる

交わるのは、ブラウンの瞳と漆黒の瞳

こう見ると綺麗な瞳をしているんだとその時初めて思った

黒が何かに染まるなんてあるはずがないのに

でも、どこか透き通った黒

外された視線に少し名残惜しいものを感じながら、

ぺらぺらとしるふが叩きつけた紙の束をめくる海斗を見つめる