あの時とこれからの日常

「なんだ、黒崎だったのか。…いろいろ迷惑かけるな、黒崎。こいつは面倒臭いと思うけど、よろしく頼むよ」

ぽんと海斗の肩を軽く叩いて靴を履く由斗の背に

「え!?由斗にいそれだけ?もっと妹に何してくれとんじゃい、とか泣かせるなよ、とか無いの!?」

それが兄としての妹の彼氏に対する反応!?

と、すがるように声をかける

「ないない。黒崎ならない。むしろ、しるふが黒崎に迷惑をかけてないかの方が心配」

「しっつれー」

むーとむくれるしるふに笑って、じゃあ、と言い残して仕事に向かう兄を三人で見送る

「ってか、どうして海斗と由斗にいが知り合いなの?」

パタン、とドアが閉まり、静けさの広がる玄関でしるふは海斗を見上げる

「時々学会で顔を合わせてた。ここらへんじゃ一番大きな総合病院だろう?あそこは。だから行く機会も多かったんだけど…まさかしるふの兄さんだったとは」

名字違うから全く気が付かなかったな

と、しみじみつぶやく海斗

「いつまでそこに突っ立っているおつもりですか、お三方」

背後から聞こえた声に三人で振り向くと、姉がドアから顔だけをのぞかせていた

「雪ねッ!!驚かせないでよ!!」

「だっていつまでたっても入ってこないんだもん。初めまして、立花紗雪です、しるふの姉です」

にっこりと海斗に微笑みかける姉に、海斗も「初めまして、黒崎海斗です」

と簡単に自己紹介する