あの時とこれからの日常

きっと彼女のあの姿勢が、あの純粋さが海斗を変えると

何らかの影響を及ぼすと信じている

「せっかく見つけてきたのよー。大切にしてよね」

もうむさくるしい医局なんて勘弁なんだから

うんざりしたようにつぶやく神宮寺に、海斗が怪訝そうな瞳を向ける

「だったら違う人に指導医を任せるべきだったと思いますよ」

あの研修医がやめようがしったこっちゃないですから

昼食を終えてすたすたと去っていく海斗の背に、神宮寺は小さく息をついた

今はアメリカにいる同期もなんて無理難題を押し付けてくれたんだ、と

神宮寺は窓の外を見上げた