深淵に棲む魚



 私が湖の底で魚を喰らい、寝たり泳いだりを繰り返している間に、次の世へ移り変わってしまったのだと分かった。



 世は、私だけを置き去りにした。




 烏帽子の男が言っていた「世の理から逸脱した存在」の意味が分かった気がした。

 遥か上空でゴオと大きな音がして、鳥ではない何かが雲の筋を作って空を横切って行った。

 それが飛行機であると知ったのは、もう少し後になってからだった。




 目の前に広がる世界は、文明の発展の意味を悟るのに充分だった。