深淵に棲む魚



 人の世界であって、人の世界でなかった。


 眩暈がした。

 妙にざわざわと騒がしい世界だった。

 しばらく観察して気が付いた。



 建物はより頑丈に、道はよりなだらかに、乗り物はより速く、全てのものはより良いものに変化していた。

 人の様相も前と異なった。

 上下別れた服を着て、頭が僅かに小さくなり、背丈は若干伸びて、皆歩くのが早かった。






 次の世の到来だった。