「世というものは、永遠に続く時の流れの中で、無限に繰り返されるのです。似通った文明が生まれ、似通った人々が暮らし、似通った発展を遂げた後、衰退し、新たな世が始まる」
 
「しかし、前の世と次の世は、似通っているようで、実は別の物なのです。そこには文明の発展が伴っている。時にあなたは、文明の発展とは如何なるものかお分かりか?」

 首を振ると、男はすっと目を細めた。



「文明の発展は、今出来ぬことを可能にします。今の世では人は空を舞えません。しかし次の世では誰もが大空を飛び交い、大海を渡り、遥か彼方の土地へ行けるやもしれません。

 そうなれば、世界は広がりを見せる。それは人の心を豊かにし、差別や偏見が如何にちっぽけであるかを知らしめるでしょう。文明の発展は、今の世にはない自由を生むのです」

「世の理という歯車に組み込まれさえすれば、いつの世か、きっと望むものを手に入れられる。
 いつの世か、あなたと私が交わる日も来るやもしれません」