私は彼らをよくよく観察した。
彼らは集団になると、食事もしないのに口をもごもごと動かしていた。
誰かが口を動かすと、傍にいた誰かも口を動かす。
すると彼らの目は細まったり、大きくなったりした。
見つからないぎりぎりまで近寄って眺め驚いた。
彼らが口を動かす度に、変な音が漏れていた。
それが意思疎通のための言語であると分かるには、長い時間が必要だった。
私もそれを発したいと思った。
何度も喉を押さえて練習したけれど、私に音を出す能力は備わっていなかった。
せめて彼らの言語を理解したいと耳を澄ませ続けた。
言葉と言うものは難解で、その頃はまだ、曖昧な部分が多かった。
それでも、聞いているだけで楽しかった。
私は「人」と言うものに憧れ、共にいたいと願った。
川の上の、木で築かれた「橋」の真下は、より人に近づけるお気に入りの場所だった。
食事と睡眠以外、私は張り付くようにして、彼らの様子を伺っていた。



