薄暗い部屋に入る。男はすばやくドアを閉めた。後ろでオートロックの鍵がガチャリと派手な音を立てる。
緊張の糸が解けたように、男は大きく肩で息を吐いた。
それから「はは、ははは」と嬉しそうに笑い出す。
「ま、ま、前にね。と、東京で、君みたいな子に出会ったことがあるんだ。と、泊まるとこ、探してるんだろ?」
壁際の、分厚く日焼けした赤黒いカーテンをシャッと引いて、男は笑いながら私を振り返った。
口調がどもると同時に男の右目がぴくぴくと脈打つように痙攣を始める。
「そ、そ、その時は、一緒にご飯食べて、そしたらすごく眠くなって、す、す、睡眠薬か何かを飲ませられたみたいでさ、朝起きたらさ、財布まで取られたんだ。くそ。でも、だ、だ、だ、だから」
男は私の頭からつま先まで舐めるように観察し、また「ははは」と笑った。
「ご飯は後だよ。それに、こ、こ、こ、ここ、シャワーが故障しているんだ。だ、だから、そのままでいいよね。ぼ、ぼ、ぼくだって小娘くらい、お、お、おお襲えるんだよ!」
言い終わらないうちに男は私に飛びつき、色落ちした赤黒い掛け布団を捲るとベッドへ押し倒した。身体を密着させたまま、あっという間に自分の衣服を脱ぎ捨てる。
私は男をじっと見つめた。



