どんなに平静を装っても、行為の最中に私は私に戻ってしまった。



女の言った通り、足の無い人魚の私は絶対に人と交われなかった。



諦めきれなくて、鱗を飲んでは誰彼構わず人の男を漁った。

しかし結局、行為の最中に足を失って、川へ戻るためにまた鱗を飲んだ。

その繰り返しだった。




 鱗の乱用で副作用に拍車がかかり、意識が鮮明な時間は僅かになった。

記憶の定まらない時間が多くなった。時折、人の言語が理解出来なくもなった。

 銀色の鱗を失うにつれ、眠気が増した。






 そうしてついに最後の鱗を飲んだ私が、この絵の前に立っている。