「そう言えばさ、江戸時代に流行った浮世絵には、三味線を弾く美人画ってのがあるんだけどね、着物を緩く着た芸者っぽい女が三味線を弾いてるような絵なんだけど。その絵のモデルってさ、遊女か花魁なんだよ」
「美人画のモデルは、皆そういう、卑しくていやらしい女達なんだ。ほら、西洋画とか油絵とかで女の裸を描いたりするじゃない。芸術だとか何とか言うけどさ、そういうのを描いてるのは総じて男だよ」
「女を裸にする目的なんてなんだかんだ言って一つだよ。それに、女が自ら脱いだんだったらさ、据え膳くわぬは男の恥だよね。
ただ、日本の昔の女って、裸になってくれなかったんじゃないかな、奥ゆかしいから。で、妥協策として着物を着崩して貰ったんだよ」
「でもさ、案外そっちの方がいやらしかったりもするよね。見えそうで見えないみたいな感じがね。それに三味線を弾いてる女の指先とか、絶対そそるよね」
反応を伺うように男が私をちょっと見上げ、それから、にやっと笑って胸のふくらみに視線を落とす。
同時にぐっしょり汗ばんだ手が、私の背から腰へと下りた。
男はその後も、焦る様に世話しなく喋り続けていた。
(卑しくていやらしい女)



