『人魚姫の話もそうだけど、この展示会を見る限り悲恋の話が多いみたい。そうじゃなければ化け物として恐れられたり、不死の妙薬として、無残に狩られたりしているわ。どちらにしても悲しい末路よ。
 でも一番可哀想なのはね、もし、人魚を女として考えるなら』


 女はもったいぶる様に笑い、つられた男もちょっと笑って『考えるなら?』と、繰り返す。

 ポニーテールを揺らし、すっと男を見上げる女。



『足が無ければ、どれだけ好きでも永遠に交われないわ』



 男はふっと笑って、女の切り揃った前髪に優しく唇を付けた。


 私の胸が熱く痛む。