年々急増する人口の中で、男の生まれ変わりを見つけるのは困難だったし、男の言っていた世の理は、この世界では非現実的でもあった。


 人々の信仰対象は「不確かな物」から「科学」という確かな学問へ取って代わり、現世や来世は、ある種の夢物語に近かった。



 そのうち私は、自分が烏帽子の男の生まれ変わりを探していたことすら忘れてしまった。

 それほど文明の発展は私に優しかった。

 烏帽子の男が言ったとおり、そこには自由があった。