ふたりのあさこ

私はバスから地下鉄に乗り換え、8カ所目の駅で降りた。


そこから2,3分歩いた場所に勤務先の会社がある。


何人かが、ちらほらと正面玄関から入って行く姿があった。


私はいつものように、PCを立ち上げる。


ふぅ…。私はため息をついた。


「おはよう。近藤さん、どうしたの? ため息なんかついて」


「お早うございます。ちょっと寝不足で……」


私は誤魔化した。


まさか話せるわけがない。


私でさえ、自分が体験した奇妙な事は、いまだに信じられない。


「土曜日まで仕事なんて冗談じゃないわよね」


2歳先輩の狩野(かのう)小百合は、気だるそうにPCに向かう。


「そうですよね。けど、振替休日があるじゃないですか」


私はPCに向かい、カタカタと文字を打つ。