いやいや、感心している場合じゃなくて。

「私、一度でいいから貴女の居る世界に行ってみたいの。ほんの少しだけ、私たち入れ替わってみない?」

鏡の中の女性ーーアサコは、私を誘うように手招きする。

「でも、どうやって?」

私は1つ疑問が浮かんだ。

『ちょっとした空間が出来るの。その空間に入るのよ。ね、試しにこっちに来てみない?』
「なんだか怖い……。私の知らない世界だし……って、え? ちょっと、どうやってこっちに来たの?」

私がパニクっていると、説明はあとで、とアサコは私の背中を押して鏡の中に入れた。

「いい? 入れ替わった事は内緒にして、私たちは互いに別世界にうまく溶け込むのよ? まずは一時間お試し期間って事で。少しリフレッシュしなさい、ね?」

またウィンクするアサコ。