家に着いて部屋でくつろいでいると、また例の声がして来た。

『ねぇ、いい加減無視するのやめて、私と少し話をしない?』

面倒だけど、私は鏡の前に立った。

「私には話はないわよ」

『そんなハッキリ言わないでくれる? ちょっと傷ついたかも…』

鏡の中の女性は珍しくちょっとだけ寂しそうな顔をした。

「ごめんなさい。言いすぎたわ。それより今日は何の用?」

『試しに私たち、入れ替わってみない? 私もアサコって言うの。同じ名前だし、ね?』
そう言ってウインクをしてきた。

うわぁ、色っぽい……。