翌日

私は彼を昼休みに屋上へ連れ出した。彼の表情は優れていない。昨日の今日だ、無理もない。

でも私はそんな彼にもっとひどい事をする。彼女が彼にキスをした時、私は自分の気持ちに確信を持った。揺らぐ事はない。これは自分で考えて結論を出したのだ。誰がなんと言おうと曲がる事はない。私は言った。

「遊斗、私は遊斗の事好きだよ。好きって言われて意識しちゃって、いつの間にかに好きになっていた。一緒にいるとドキドキするし、幸せな気持ちになる。月日なんて関係ない、私が遊斗を好きな気持ちは誰にも負けない。だからね、私と…。」

それは上塗りに過ぎない。彼を縛る為の鎖だ。彼が私の下から消えないように、彼女が描いた
未来にならないように。

「キスしよ。」

そう言うと、私は彼の顔に近づいて唇と唇を重ねた。

私にとっては初めての行為だったけど、ちゃんと出来たと思う。

照れてしまって彼の顔を見れない。心臓はあり得ないほど高鳴る。好きという気持ちは高まるばかり。

一歩下がり、呆然としている彼を照れながらも私は見る。

「私の好きは、誰にも負けないから。」

私は人を好きになるという事を初めて知った。それは時に辛く、時に切なく、時に愛おしい。

勝った負けたと恋は戦争。

離したくない想いは想いとぶつかり、人を知り恋を知る。

私が意地悪そうに笑うと、彼もまた笑った。お互いに真っ赤になりながらも、そのまま私たち
は抱きしめ合った。

この温もりを決して離しはしない。だって私は



生まれて初めて恋をしたから。