「もうやめてくれ、美紀。俺達はもう終わったんだ。」
「どうして⁉私はこんなに遊斗のことが好きなのに!私の方が可愛いのに!!」
会話は白熱していた。喧嘩のように続く会話はまるで悲鳴のようだった。
「好きになったからだよ。」
「なんでよ!」
「俺は!由依のことが好きなんだ!照れた表情も優しい声も少し大人びている仕草も皆々大好きなんだ!確かに昔はお前のことが好きだった自分がいたことを知っている。だけど、だけど!今俺の心には由依がいる。お前じゃないんだ。あの笑った顔が、俺の中心にあるんだ。だからごめん、諦めてくれ。俺の好きな人は由依だ。勝手かもしれないけど、お前を好きになれそうにないんだ。」
そう言って彼は元カノに対して頭を下げた。
「…私じゃダメなの?」
想いが伝わったのか、彼女のその言葉は震えていた。今にも泣き出しそうで、強気な態度は消えていた。
「お前じゃダメなんだ。俺は、嘘をついてお前とやり直すことが出来るほど、器用じゃない。」
彼女の頬に一筋の涙が伝う。
最低な私は、その言葉が嬉しかった。眼前で失恋した少女に対して、ざまぁみろって言ってやりたかった。そして彼に対する恋心が強くなった。最低だとは自覚している。人間としてどうかと思う。でも私の中の黒い感情はそう思ってしまった。
彼女は言う。
「そう…分かりたくないけど分かったわ…でも…。」
彼女は一瞬、彼に距離を詰めて顔を近づけた。
「えっ…。」
私は思わず声をあげた。だってそれは恋人同士にとって一つの証とも言える行為だったから。
「て、てっめぇ⁉」
突然の出来事に彼は動揺していた。顔が真っ赤になっていて、照れたような怒ったような表情をしていた。
「これくらい、いいでしょ。今までだって散々してたんだし、思い出くらい頂戴よ。」
そう言うと彼は何も言えなくなっていた。
「遊斗、好きだよ。彼女に愛想つかされたら私のところにおいで、いつでも待ってるから。」
「…そんなことはないよ…。」
「未来のことなんて分からないじゃない。それこそ未来ではあなたと私は結婚しているかも
よ?だから、私は待ってるから。そんな未来が実現するまで。」
「……………。」
彼女は意地悪そうに笑みを浮かべ、言いたいことを言えたのか満足そうと言えないまでもすっきりした表情で教室を出ていった。
私は見つからないように死角に隠れて彼女を見送る。
カッコ良いと不覚にも思ってしまった。はっきりとしていて、力強い生き方だと思う。独特の
清々しさがあって、尊敬する。
教室に一人呆然とした彼は唇に手を触れ、苦々しい表情をしていた。
これ以上はよそうと思い、私は携帯を机に入れたまま帰る事にした。私は最低な人間だ。
「どうして⁉私はこんなに遊斗のことが好きなのに!私の方が可愛いのに!!」
会話は白熱していた。喧嘩のように続く会話はまるで悲鳴のようだった。
「好きになったからだよ。」
「なんでよ!」
「俺は!由依のことが好きなんだ!照れた表情も優しい声も少し大人びている仕草も皆々大好きなんだ!確かに昔はお前のことが好きだった自分がいたことを知っている。だけど、だけど!今俺の心には由依がいる。お前じゃないんだ。あの笑った顔が、俺の中心にあるんだ。だからごめん、諦めてくれ。俺の好きな人は由依だ。勝手かもしれないけど、お前を好きになれそうにないんだ。」
そう言って彼は元カノに対して頭を下げた。
「…私じゃダメなの?」
想いが伝わったのか、彼女のその言葉は震えていた。今にも泣き出しそうで、強気な態度は消えていた。
「お前じゃダメなんだ。俺は、嘘をついてお前とやり直すことが出来るほど、器用じゃない。」
彼女の頬に一筋の涙が伝う。
最低な私は、その言葉が嬉しかった。眼前で失恋した少女に対して、ざまぁみろって言ってやりたかった。そして彼に対する恋心が強くなった。最低だとは自覚している。人間としてどうかと思う。でも私の中の黒い感情はそう思ってしまった。
彼女は言う。
「そう…分かりたくないけど分かったわ…でも…。」
彼女は一瞬、彼に距離を詰めて顔を近づけた。
「えっ…。」
私は思わず声をあげた。だってそれは恋人同士にとって一つの証とも言える行為だったから。
「て、てっめぇ⁉」
突然の出来事に彼は動揺していた。顔が真っ赤になっていて、照れたような怒ったような表情をしていた。
「これくらい、いいでしょ。今までだって散々してたんだし、思い出くらい頂戴よ。」
そう言うと彼は何も言えなくなっていた。
「遊斗、好きだよ。彼女に愛想つかされたら私のところにおいで、いつでも待ってるから。」
「…そんなことはないよ…。」
「未来のことなんて分からないじゃない。それこそ未来ではあなたと私は結婚しているかも
よ?だから、私は待ってるから。そんな未来が実現するまで。」
「……………。」
彼女は意地悪そうに笑みを浮かべ、言いたいことを言えたのか満足そうと言えないまでもすっきりした表情で教室を出ていった。
私は見つからないように死角に隠れて彼女を見送る。
カッコ良いと不覚にも思ってしまった。はっきりとしていて、力強い生き方だと思う。独特の
清々しさがあって、尊敬する。
教室に一人呆然とした彼は唇に手を触れ、苦々しい表情をしていた。
これ以上はよそうと思い、私は携帯を机に入れたまま帰る事にした。私は最低な人間だ。

