同日

微妙な空気のまま彼とはさよならをした。今日も部活があるらしい。逆に良かったかもしれない。元カノの性格が強烈過ぎるのだ。今彼にあっても余計に気まずい空気になるだけだろう。

「折角、好きになったかもしれなかったのに…。」

数日程度の好きだけど、確かに好きだった。でも今は…。

「なんだか分からなくなっちゃった…。」

学校を出たところで、携帯を机の中に入れっぱなしだということに気づいた。どうやら嫌なこ
とは続くらしい。 

「めんどくさいなーもう。」

数分程度の浪費と一日携帯が使えないことを考えると、数分程度の浪費が打ち勝った。女子高
生にとって携帯は命の次に大事な物だから。

教室に戻ると、聞き覚えのある声がした。彼の声だ。

何を話してるんだろう…。

話している相手はこちらもまた聞き覚えのある声だった。これは元カノの声だった。

その事実は私を不安にさせる。

奈落の穴に落とされたような浮遊感が私を襲う。

彼が私を裏切ったかもしれない。

彼が元カノとよりを戻すかもしれない。

嫌だ、それは。

でも私には教室に入るほどの勇気はなかった。彼等二人の会話を盗み聞きすることしか私には出来なかった。

自分の性格が恨めしい…。