「あの…えっとね、べ、弁当…作ってきたんだけど。」
購買に行く前に彼にその事実を告げると満面の笑みで「なら一緒に食おっか」と言った。
その言葉を聞いただけで胸がいっぱいになって何も食べなくても生きていけるような高揚感に包まれた。
屋上に行き一緒に食べ、少しの間会話をするだけで昼休みの終わりを告げる鐘がなってしまった。
私が生まれてきた中でこの時間が一番早く感じたかもしれない。
彼ともっと一緒にいたいという思いが日に日に強くなってきているのだろう。もっともっと話したいし、ずっとずっと一緒にいたい。
恋をしているという実感があった。
永遠に続くかもしれないと思ってたこの瞬間が、ある出来事に脅かされるまでは。
「遊斗、なんでこんな地味な女なんか選んだの。」
屋上からの帰り道、ある女子生徒が彼にそんなことを言ってきたのだ。
「美紀(みき)…。」
彼の表情が曇ったのが分かった。
俯きがちになってそう言う。
「あなたね、今の遊斗の彼女は。私はね、遊斗の元カノ。今でも変わらず遊斗のことを誰よりも好き。あなたなんかより私の方が可愛いしあなたに負けているところなんてひとっつもないわ。だからね、遊斗のことは諦めてくれない?正直邪魔なのよあなた。」
いきなり詰め寄ってきて、そのマシンガントークに私はどうにかなりそうだった。ここまで包み隠さず思ったことを言える人間はあまりいないかもしれない。逆に清々しかった。
確かに彼女は私より可愛い。私に勝てるところが一体いくつあるか。
「おい、美紀!お前何言ってんだ。」
「私は思ったことを言っただけ。」
気が強いというかなんというか、正直私とは真逆のタイプだろう。
私が白なら彼女は黒。
彼の中でその正反対とも言える性格を好きになった想いはどうなっているのだろう。
正直不安だ。幸せだった彼との日々に、亀裂が走るんじゃないかと怖くてたまらない。
「私だって、遊斗のこと好きだから…。」
勇気を振り絞って出た言葉がそれだった。足下が不安定になっているような気がして、正直立っているのがやっとだ。気の強い女子とは、馬が昔から合わないのだ。
「数日程度の好きと、私の好きを比べないでくれる?数日前まで友達でしか無かったあなたの
気持ちなんて、私の気持ちの足下にも及ばない。」
「………。」
言い返すことが出来なかった。確かに彼女言う通り、私の気持ちは彼女の気持ちに勝てない。
私だってまだ不確かで不安定で、好きって気持ちがよく分からないのだ。分かりかけたけど、
また分からなくなったかもしれない。
「美紀!」
彼がそう言うと、彼女は「分かったわよ」と不満そうに踵を返して帰っていった。
言いたいことは言ったようだ。はっきりとしていて、劣等感を感じざるを得ない。
本令の鐘がいつものように機械的鳴る。
購買に行く前に彼にその事実を告げると満面の笑みで「なら一緒に食おっか」と言った。
その言葉を聞いただけで胸がいっぱいになって何も食べなくても生きていけるような高揚感に包まれた。
屋上に行き一緒に食べ、少しの間会話をするだけで昼休みの終わりを告げる鐘がなってしまった。
私が生まれてきた中でこの時間が一番早く感じたかもしれない。
彼ともっと一緒にいたいという思いが日に日に強くなってきているのだろう。もっともっと話したいし、ずっとずっと一緒にいたい。
恋をしているという実感があった。
永遠に続くかもしれないと思ってたこの瞬間が、ある出来事に脅かされるまでは。
「遊斗、なんでこんな地味な女なんか選んだの。」
屋上からの帰り道、ある女子生徒が彼にそんなことを言ってきたのだ。
「美紀(みき)…。」
彼の表情が曇ったのが分かった。
俯きがちになってそう言う。
「あなたね、今の遊斗の彼女は。私はね、遊斗の元カノ。今でも変わらず遊斗のことを誰よりも好き。あなたなんかより私の方が可愛いしあなたに負けているところなんてひとっつもないわ。だからね、遊斗のことは諦めてくれない?正直邪魔なのよあなた。」
いきなり詰め寄ってきて、そのマシンガントークに私はどうにかなりそうだった。ここまで包み隠さず思ったことを言える人間はあまりいないかもしれない。逆に清々しかった。
確かに彼女は私より可愛い。私に勝てるところが一体いくつあるか。
「おい、美紀!お前何言ってんだ。」
「私は思ったことを言っただけ。」
気が強いというかなんというか、正直私とは真逆のタイプだろう。
私が白なら彼女は黒。
彼の中でその正反対とも言える性格を好きになった想いはどうなっているのだろう。
正直不安だ。幸せだった彼との日々に、亀裂が走るんじゃないかと怖くてたまらない。
「私だって、遊斗のこと好きだから…。」
勇気を振り絞って出た言葉がそれだった。足下が不安定になっているような気がして、正直立っているのがやっとだ。気の強い女子とは、馬が昔から合わないのだ。
「数日程度の好きと、私の好きを比べないでくれる?数日前まで友達でしか無かったあなたの
気持ちなんて、私の気持ちの足下にも及ばない。」
「………。」
言い返すことが出来なかった。確かに彼女言う通り、私の気持ちは彼女の気持ちに勝てない。
私だってまだ不確かで不安定で、好きって気持ちがよく分からないのだ。分かりかけたけど、
また分からなくなったかもしれない。
「美紀!」
彼がそう言うと、彼女は「分かったわよ」と不満そうに踵を返して帰っていった。
言いたいことは言ったようだ。はっきりとしていて、劣等感を感じざるを得ない。
本令の鐘がいつものように機械的鳴る。

