確か待ち合わせ場所は、駅前だったはず。
あと30分もあるから、歩いても余裕で間に合うな。
駅前に向かって歩いていたオレに、誰かが抱きついてきた。
「―…痛っ…」
「勇雅、どこ行くの?」
「……チカ……」
はぁ、と溜め息をつくオレ。
そんなオレを不思議そうに見つめるチカ。
「……ついてくんな。兄貴と遊んでろよ!」
「えー…どこ行くの!?」
オレは、チカを見下ろすとフッと微笑んで言った。
「デート。じゃあなー」
段々と遠ざかるチカ。
…何か、今のすっげー気持ちよかった。
オレ、福永瑛未に会うの結構楽しみなのかも。
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