「……わかった。じゃあ、傘だけ使って?」


先に口を開いたのは、高橋くん。


「…高橋くんが濡れちゃうじゃん……いいよ!!」


高橋くんは無理矢理、持っていた傘を私に差し出す。


「……え…っ…」


どうすればいいんだろう。


その瞬間――…曇空にピカッと稲光が光った。



――ゴロゴロ…ドーンッ!!



前触れもなく、どこかに落雷したらしい雷。



「…ゃ……」


―…宙に舞う傘。



「うわ…っ」




―…私は、濡れた体のまま高橋くんの腕の中に飛び込んでいた。




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