――…ビクッ


いきなり掴まれた腕に反応した体が揺れる。


「……や…っ!!」


高橋くんから掴まれた腕をとっさに振り払ってしまった。



「………あ…」


ふと、我に返って気付いた。


目の前には本当にびっくりした表情の高橋くん。


―…やばい。


高橋くんに、悪気なんかないってわかってるのに。


さっきのは私が風邪をひかないようにって、高橋くんの配慮だったのに。



「…た、高橋くん…ごめ―…」


「いや、いいよ。オレの方がごめん。」



高橋くんのこの顔…絶対、傷付いてるよ。


…私、バカ。


自分のことしか考えてない…



感じ悪い態度とって?


手を振り払って?


……最悪だ、私。



その場にはどよーんとした重い空気だけが漂う。




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