走り始めてから、数分たっただけなのに、もう制服とカバンがびしょ濡れ。 すごい大雨は、止みそうにない。 「…冷た……」 体が凍えすぎて、手先の感覚がなくなってきた。 明日、風邪ひいちゃうかもなぁ… なんか頭痛いような気がするし。 とりあえず、家に帰ったらまず制服は乾燥機に入れて、お風呂に入ろう… そんなことを考えながら一生懸命走り続けていた。 「―…あれ、瑛未ちゃん?」 私を呼ぶ誰かの声。 聞き慣れた、この低い声の持ち主は…… 振り返ると、やっぱりそこにいたのは驚いた顔の高橋くん。 .