嵐のように立ち去った担任をふたりでポカーンと見送る。
「…これは、雑用だね」
先に口を開いたのはゆいだった。
「…ゆい、先に帰っていいよ。今日は塾の日でしょ?」
「…何で?手伝うよ!!」
「頼まれたの私だし。早く帰らないと雨降るよ?」
「…でも…っ」
「すぐ終わるよ、こんなの。遅れたら宿題増えるって言ってたじゃん。」
「うー……じゃあ、何かあったら電話してね!!」
「はいはい。」
「絶対ね!塾、終わったらメールするから!」
そう言って、ゆいは申し訳なさそうに帰って行った。
ひとり残った私は、頼まれた仕事を始めていく。
頼まれたのは、3種類ずつあるプリントを1部づつまとめていく、一見簡単そうな雑用。
―…そう、なめていたのが甘かった。
.

