何とか家にいた兄貴から自分の番号を聞くことに成功。


…おし。これで準備完了。


あとはあの子の持ってるオレの携帯に電話をかけるだけ。


そう意気込んで、自分の携帯の呼び出し音を鳴らした。


1コール…2コール…


あー…無視される可能性もなくはないのか。


3コール…4コール…


頼むから出てほしい。


5コール………そこで、やっと途切れた呼び出し音。


――…出た!



「…もしもし?」


「あ、あの…オレ、高橋っていうんですけど…」



とりあえず名乗っといたオレ。


なのに、待ってもなかなか返ってこない返事。


………あ


もしかして、オレのことが誰か分かんなくて混乱中?


「いきなり高橋とか言われても……分かんないよね。」


「……すいません。」



今度は、すんなり返事が返ってきた。


「―…オレ、今日の夕方ぶつかった奴です。」




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