『お前』と言われた福永瑛未は


「別に何でもないよ。」


と、オレから目をそらす。



「やっぱり福永さんと高橋って、付き合ってたの?」


「…付き合ってないよ!!」



隣にいる男の質問に全力で否定する福永瑛未。



…あ、そう。


確かに付き合ってねーけど、そんなに強く否定しなくてもいーじゃん。



…なんかムカつく。



「―…付き合ってるよ。」



そんなオレの口から出てきた嘘。


後で怒られてもいい。


どうせ、もう嫌われてるから一緒のことだし。




「―…どっちが本当でも気にしないけど。福永さん、行こ?」



相変わらず、福永瑛未の腕を引き続ける男。



…おい、気にしろよ。



男は、福永瑛未の手を引き再び歩き出す。



オレはその男に「手、離してよ。」と優しく一言。



…これで聞いとけばいいのに、男は反抗してきた。



「…嫌だ。」




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