静かな空気がふたりを包む。



「……え…瑛未ちゃん…?」



もう1度、考え直してみると、恥ずかしくなってきた。


言った言葉も、行動も。


全てが恥ずかしく思えてきて―…



「あはは…ごめんね。」


「…瑛未ちゃ…」


「忘れてくれていいから……ばいばい!!」



高橋くんに背を向けて、その場を走り去る。




もう空には、星が出ていて。


500メートルくらい走ったところで、初めて後ろを振り返った。



後ろを見ても、前を見ても聞こえるのは自分の荒い呼吸の音だけ。



―…ちょっと追いかけてきてくれるかなって期待してたんだけど。


やっぱり、高橋くんは、追いかけてきてはくれなかった。




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