高橋くんは、頭をガシガシと、苦しそうな表情になった。


「…ねぇ、オレ何かした?」


「………………」


私は目も合わせずに、黙って首を横に振る。


目を合わせたら、気持ちが溢れそうだったから。


泣きそうになるから。



そのまま目を合わせないようにぱっと下を向く。



「……瑛未ちゃん?」



―…お願い。


本当にやめて。



「……瑛未?」



――…やめて!!



「呼ばないで!!」



いきなり出してしまった大声にびっくりした高橋くん。



「……は?何で?」


「高橋くんのいるべき場所は、ここじゃないよ。」


「…それ、どういう意味?」



高橋くんの真剣な目が真っ直ぐに私を見る。



…そんなことまで言わせるんだ?


何かムカついてきた。




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