さくらのうた


今声をかけてくれたのはSaxを吹いている折道友哉(おりみちともや)先輩と、北神周樹(きたがみしゅうき)先輩。
どっちも私をいつもからかってる困った先輩だ。と言っても、にぎやかなので春香は嫌いじゃないが。

さくらのうたの合奏中私はいつも隣にいる相原先輩を見つめてしまう。
なぜならこの曲は今の春香の恋の気持ちにぴったりなのだ。
別にさくらのうたは恋の吹奏楽曲ではないが、このはかなげな、でもどこか幸せそうな曲がぴったりなのである。
(相原先輩の近くにいれて幸せ。だけど、だからこそつらい時があるんだよねぇ…)
春香はこう思わずにはいられない。



(う~~~~。部活終わっちゃったぁ!!なんでもっとやらないんだろう?)
春香は部活が大好きなので部活が終わっても少しとどまっている。
その理由の一つに相原先輩がいつも残っているから。という理由もあるわけなんだが…。
そうして人が少なくなってきて、春香もそろそろ帰ろうかなぁと思っていた時だった。
「ぎゃーーーーーー。やっ!!やめろよお前ーーー!!」
「へへーん。ざまー見るんだな。」
いきなり隣の音楽室Bから大きな声が聞こえてきたのでひょいっと覗いてみると…。

あいかわらず男子の先輩が騒いでいたのだった。
(いいなぁ。にぎやかで。)
と思っていたその時!!!!
「あ~~~!!!!!いけないんだぁー!!岡見さんが黒板にこんなの書いてるー」
と北神周樹先輩に言われたので驚いて黒板を見てみると、
相原♡増山 と相合傘が書いてあったのだ。
「っなっ!!!!こんなの書いてないですよーっ。っていうか男同士の時点で相合傘の定義が崩れてますっ!!!」
「あぁ!!!書いてないなんてウソついたぁ!」
これにほかの男の先輩が悪ノリしていく。
 「わぁー。いけないんだぁ!!」


「はぁ…。」

「ごめんごめんっ!!岡見さんからかうと面白いからさ!!!」

「周樹先輩っ!!…。。。まぁ、いいですけど。」
「やったぁ!!岡見さんやっさしぃ☆」
と思ったらまた男の先輩たちと騒ぎ出してしまった。

(絶対反省してないでしょ。ま、いっか)
こんな姿を見ていると、つい相原先輩の姿を追ってしまう。
(結局あきらめきれないんだよなぁ…)
「はぁ。」
と思わずため息をついてしまったときだった。



「岡見さん!!!ちょっとこっちきて。」
そういって増山先輩は私の手をガシっとつかみ、離さない。
「増山先輩!?どうしたんですか!?????」
「岡見さんにちょっと話があるんだ。」
ってえぇ?????????