さくらのうた

私は岡見春香(おかみはるか)。吹奏楽部のトロンボーンを吹いている中学2年生だ。

私には実は好きな人がいる。 これは人にあまり話したことのない私の秘密。

私が好きなのは同じパートの相原竜輝(あいはらりゅうき)先輩。
相原先輩は誰にでも優しくて部長をしているとっても頼りになる。
(でも、きっと相原先輩は私のことどうにも思ってないんだろうなぁ…。はぁ。)
最近はこんな感じの繰り返し。ため息ばかりついている。

「どうしたの?岡見さん。」
「あ、相原先輩。なんでもないです!!!元気ですよ!!」
「そう?ならいいけど。」

実は、悩み事はこの私の対する呼び方だ。相原先輩は後輩のことを○○さんとしか言わないのだ。
(はじめのころは全員そうだし。まぁいいか。)
とか思っていたのだが…。。。実は春香は見てしまったのだ。。。。

もうすぐ先輩たちが引退するので寄せ書きを書いていた1週間前のことだった。
私の友達でバリトンサックスを吹いている華原萌(かはらもえ)の紙をふと見てみると、「萌ちゃんへ。この間の練習の時すっごいたのしかった。」と書いてあったのだ。

いつもどこか他人行儀な相原先輩は萌に対してちゃん付けしていた。
その出来事があってから私は落ち込んでいる。
もしや2人が付き合ってるのではなどとも思ったが、萌にはサッカー部の彼がいる。だから両思いと言うことはなさそうだが…。

相原先輩の片思いかもしれない。どっちにしろ私より仲が進展しているという考えは否定できない。
この出来事があるまでは私と相原先輩の仲はいい雰囲気になっていたのだった。
(あくまでも春香からするとだが…)

「はぁ。どうすればいいんだろう…。」
 「どうしたの?岡見さん?」
「あ、増山先輩!なんでもないですー。大丈夫ですよ。」
今度私に声をかけてきてくれたのは同じトロンボーンの先輩の増山征斗(ますやませいと)先輩。ちなみにトロンボーンの3年生は2人で、両方男なのだ。
しかも増山先輩と相原先輩は幼稚園のころからの仲良し。性格は正反対だけど。

「ホント?ならいいけど。」
ちなみに増山先輩の方がパートリーダーだ。
「そろそろ合奏始めるからシャキッとしなね!」
「ハイ。増山先輩!!」

「なになに~?岡見さん元気ないの??」
「え? マジで?大丈夫ー??」
「あ、折道先輩。周樹先輩!大丈夫ですよ!!元気です♪それに次の合奏さくらのうたじゃないですか!!気合入ってますよ!!」
「そぉ?さっすが岡見さん♪」
「ちゃかさないでくださいよー!!もうっ」
 「あ、怒っちゃったー!!んじゃね☆」