「ほらほら!早くしないと1時間目古文だよ!?」
「げっ、古文って丸山先生!?やばいって!
てか単なる演出なら、亜紀が立候補すればいいじゃん!」
「だめだめ!あたし『部活命』だから!うっかり当選しちゃったらヤバイもん!」
亜紀はそう言いながら、私に紙とペンを差し出してくる。
確かに、成績優秀な亜紀が立候補したら、相手候補者が誰だろうと亜紀が当選するだろう。
そして、亜紀はテニス部で副部長という役職についてるから、生徒会との両立は厳しいというのも頷ける。
副島副部長が副島副会長にもなったら、本人も混乱するんじゃなかろうか。
そうこうしている内に、始業の時間は迫ってくる。
「んも~~!分かったよ!書けばいいんでしょ!?」
……ついに私は観念した。
大丈夫、他に立候補している人がいるなら、私に投票する人なんていないだろうし。
何より、早く教室に帰らないと先生に怒られる!
あの学校一怖い丸山先生に怒られたら、クラス中に迷惑かけちゃう!
亜紀から紙とペンをひったくって、私は走り書きで文字を連ねた。
『副会長 立候補 村越沙奈江』

