生徒会室まで来なさい。


「ちょっと、いい加減に離してよ!」

私は改めて抗議をして、瀧澤の腕から逃れようともがく。

「るっせーな、耳元でわめくな。」

瀧澤はため息まじりに言って、ようやく腕の力を緩めてくれた。
勢いよく立ち上がって、瀧澤と距離を取る。
すぐに逃げようと思ってドアノブに手をかけたところで、机の下に荷物を置きっぱなしにしていたことに気付いた。

が、

「あれっ、カバンが無い…!?」

私の荷物はあるべきところに無く、目をさまよわせていると、瀧澤と視線がぶつかった。

瀧澤はいつもの銀縁の眼鏡を掛けていなかった。
もしかしたらさっき倒れた拍子に、どこかにやってしまったのかもしれない。
眼鏡を外した瀧澤はもう優等生には全く見えず、細められた目は陰湿な人間の表情だった。

「お探し物はこれかな?」

ニヤついた瀧澤の指さす先には、私のカバンが転がっていた。