「先生、問題ないです。お騒がせして申し訳ありません。」
瀧澤は私の頭を抱え込んだまま、事も無げに言う。
この状況で、この体勢で、よくそんなこと言えるな!?
いっそのこと先生に助けを求めたいけれど、そんなことをしてこの場を見られたら、何を言われるか分かったもんじゃない。
というか、声が近い!
顔の近くで喋らないで欲しい!
瀧澤が喋る度に彼の胸が震えて、その振動が私にも直接響いてくる。
身体が密着していることが分かって気が気じゃない。
「おー、その声は瀧澤か?本当に大丈夫か?」
「ええ、ちょっと虫を退治していただけなので。」
「そうかー?まぁあんまり遅くならんようになー。」
「はい、失礼します。」
瀧澤のその言葉を最後に、先生の足音が遠ざかる。
どうやら行ってくれたみたい。
だけど、だけど。
瀧澤はまだ、私の身体を離してくれない。

