「は?キス……?」
私が聞き返すと、瀧澤は「そうだ」と言う代わりに口元の笑みを深くした。
そうして座ったまま、組んだ脚をゆらゆらと揺らしてみせる。
「ここに」
言いながら、瀧澤は自分の足を顎で指し示す。
丁寧に磨かれた、黒の革靴だ。
あまりの扱いに腹が立った。
いや、既にさっきから腹は立っているけど、あんまりじゃないか。
靴にキスをしろだって?
冗談じゃない!
「…イヤに決まってるじゃない。あんた、頭おかしいよ」
足にキスをするだなんて。
一体いつの時代の、どこの国の話よ?
そんなこと、たとえ自分の敬愛する人にだってごめんだ。
私はマゾじゃないんだから!
「そうか、じゃあ好きにしな。明日、どうなってもいいならな」
余裕の表情で瀧澤が言う。
その発言に私はぐっと言葉に詰まる。
こいつ、やっぱりアレをばらす気か…!!

