「……ご、ごめん」
瀧澤は本気で私に対して怒っていた。
それを心から実感した今、私は謝るしかなかった。
しかし、瀧澤の反応は私の期待と予想を見事に裏切った。
「謝って済むかよ。俺はな、お前のそのヘラヘラして適当に物事を済ませようとする姿勢が腹立つんだよ」
「なっ…謝ってんのに、それは無くない!?」
「だから、そうやって簡単に終わらせようとすんなって。謝るくらいなら仕事しろ」
「し、仕事って…」
「副会長の仕事に決まってんだろ」
そう言いながら、瀧澤はようやくドアから手を離す。
「…でも、副会長って、特別にやることなくない?」
そう、「副会長」という役職には、特化して務める仕事が無い。
会計は、予算を組んでお金の管理をする。
書記は、会議の内容を議事録にまとめる。
そして会長は、会議をまとめ、全校生徒をまとめる。
じゃあ、副会長は?
「やることあるだろ。会長の補佐」
「補佐…って言っても、具体的に何するのさ」
私が質問を重ねると、呆れ顔の瀧澤は腕組みをして首をぐるりと回す。
そして首を斜め45度にした状態で、低く言う。
「俺の奴隷になるんだよ」

