生徒会室まで来なさい。



「じゃあ早速、本題に入ろうか」


私の自己紹介挽回のチャンスもなく、瀧澤は会議の開始を宣言する。



あー終わった。

私の一年間は終わった。




「まずは例年通り、今年の方針から決めよう」


瀧澤は黒板の前に立ち、白のチョークで「方針」と書く。


「方針?」


私はぽかんと口を開けて、書かれた字をそのまま読む。



「ほら、去年もこの時期にさ、生徒会全員が全校生徒の前で方針を発表してたでしょ?
今年はこんな風にしますーってな感じで」

「ああそういえば…なんか小学校の学級目標みたいなやつだっけ?」

「うーん、それとはちょっと違うけど…」


十文字くんは眉根を寄せて、首を傾げてみせる。
きっとこのかわいらしい(と恐らく本人は意識している)仕草で、色んな女の子をその気にさせてきたに違いない。


「とにかく、この一年間、我々を含む全校生徒の意識の方向性を揃えて、共に歩んで共に成長するためのものだよ」

「わ、我々…!」


『我々』なんて単語、宇宙人の真似をする時しか使ったことない!
瀧澤、今「我々」って言った!うける!
「ワレワレハ、セイトカイダー!」みたいな!


「……村越さん?」

「は、はいぃ!!」


またもや、瀧澤に心を読まれてしまった。