「これから一緒に生徒会を盛り上げていこうね」


瀧澤はそう言って、差し出した手をぐっと私に近づけてきた。


「あ、うん…よろしく…」


私はそう言うしかなく、握手を受け入れた。
瀧澤の手はひんやりとしていた。


「じゃあ、今日の放課後、早速会議があるから。
帰りの支度をして、生徒会室に来てね」

「う、うん……」


私がそう返事するのを確認すると、瀧澤はくるりと振り向いて自分の席へと戻った。


「沙奈江、もう行くしかないね。
同じクラスに会長が居る限り、会議をサボるなんて絶対に無理だわこれ」

「ああ…もうやだ…本当にいやだ……」

「まぁなんとかなるって!瀧澤いいヤツだしさ!今のでわかったでしょ?」

「いや、私なんかあの人苦手なんだよね…」

「なんでー?頭いいし、みんなに優しいし、顔だって悪くないじゃん?」

「まぁそうなんだけどさぁ…なんか、なんとなく…なんとなくダメなんだよね」

「何それ、すっごい曖昧!」


亜紀はそう言ってゲラゲラと笑う。
確かにすごく曖昧だけど、何かがなんとなくダメなのだ。


あの人と関っちゃいけないって、本能的な何かが、私に警告を出しているみたい。