それから7日後。
私は全校生徒の前で、体育館のステージ上にひとりで立たされていた。
何故かって?
立候補演説の為、だ。
そう、今日は誰も待ちに待っていない再選挙の投票日。
投票の前に、立候補者は全校生徒に向けて演説をしなくてはならないのだ。
うっかりしていた。
再選挙の時にはなんとなく演説は必要なさそうな気がしていたが、それは完全なる私の思い込みだった。
数百人もの前で話をするだなんて、何を喋ったらいいか分からないし、緊張で気を失ってしまいそう。
というより、いっそ気を失って保健室に運ばれたい。
しかし残念なことに、私は失神できる程ヤワな体をしていなかった。
ここで残念なお知らせをもうひとつ。
つい今しがた「ひとりで立たされていた」と私は述べた。
ええ。
本当に、本当に本当にステージの上には私ひとりしか居ないのだ。
私の後方で座って控えている筈の、他の候補者の姿が、無い。
なんなら、座るための椅子も、無い。
はい、やられました。
立候補者は私しか居ません。

