どこにでもいるようなショートカットの女の子。 ただ、少しだけ違ったのは、その子が泣いているように見えたこと。 そしてうちの高校の制服を着ていること。 望遠のレンズに写ったその子は、瞳いっぱいに涙を溜めて上を向いていた。 まるで自分が泣いているなんて認めないような、強くて、でも今にも雫が落ちそうな瞳で桜の木を見上げていた。 何故だか目が離せなくて、カメラを構えたまま動かずにいると、その子がこちらに視線を向けた。 一瞬びくりとしながら、でも視線を外せなかった。